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2019年07月25日

家の暮らしやすさを左右する「断熱材」

先日、お客様と話していた時の会話です。
お客様「それにしても家づくりも昔とはずいぶん変わったよね~」
私「そうですねぇ。もともと大昔の家は、屋根と柱と壁と床があって雨風をしのぐために考えられたものなんでしょうね。」
お客様「それがどんどん暮らしやすい空間になるよう工夫されてきてるんですね!」
私「そうなんです。最近は昔と比べ暑い夏や寒い冬にも、ずっと快適に過ごせるようになりましたよね。」
このようなお話は、今までリフォームをしたことのない築30年~40年のご実家住まいであった方々からよく伺います。室内温度の観点から快適に過ごせるようになった理由は様々ありますが、中でも断熱材の使用や進化は大きな要因です。
そもそも家の側面は、柱と壁でできていて基本的に家の外から見える壁(外壁)と屋内から見える壁(内壁)の間に柱があります。
断面図をみると柱が外壁と内壁でサンドされている感じですね。
その外壁と内壁の間にあるのが断熱材です。細かくいえば柱と柱の間に入れられる「内断熱」と、柱の外側と外壁の間を断熱する「外断熱」があります。では、どのようなものが断熱材として使われているのかというと、断熱材の種類としては素材によって繊維系断熱材と発泡プラスチック系断熱材の二つに分けられます。
繊維系断熱材と発泡プラスチック系断熱材を、素材ごとに細かく分けると、断熱材の種類としてはさらに多くなりますが、ここでは<繊維系断熱材>と<発泡プラスチック系断熱材>に分けてそれぞれの特徴をお伝えします。

<繊維系断熱材>
繊維系断熱材は、細かい繊維の間に空気を閉じ込めることにより機能する断熱材のことです。
細かい繊維が複雑に絡み合っているのが繊維系断熱材の特徴です。
繊維自体の太さや繊維の密度によって熱伝導率は異なります。細い繊維をギュっと密に詰めた断熱材ほど熱伝導率は高くなります。なお、繊維系断熱材はガラスや岩などを繊維状にした「グラスウール」や「ロックウール」のような《鉱物繊維系》と呼ばれるものと、新聞古紙を主原料とした「セルロースファイバー」のような《木質繊維系》と呼ばれるものがあります。

主な特徴としては
《鉱物繊維系》
・価格が手頃で普及している
・高い断熱性能を得るためには厚みが必要
・天井裏に吹き込み断熱ができる
・耐燃焼性がある
・防音材としても使用される防音性と吸音性を有する
・充填施工に適しているが注意しないと隙間ができる
・防湿材の施工が必要

《木質繊維系》
・天然素材のため環境に優しいイメージが強い
・断熱性能に対して価格が割高である
・防音材としても使用される防音性と吸音性を有する

などといったことが挙げられます。

<発泡プラスチック系断熱材>
発泡プラスチック系断熱材は、プラスチック素材の中に無数の細かい泡を閉じ込めている構造の断熱材です。発泡プラスチック系断熱材の断熱性は、プラスチック自体が熱を通しやすいかだけでなく、閉じ込めている泡の大きさや数によっても変わってきます。
「硬質ウレタンフォーム」や「ポリスチレンフォーム」などがあり、
主な特徴としては、
・厚さに対して断熱性能が高いものが多い
・独立気泡構造のため、防湿性が他の断熱材より高く、結露防止効果が高い
・材質によっては付加性能が調整できる
・硬質ウレタンフォームは、現場発泡(施工)
・ポリスチレンフォームは、形状の自由度が高く結露防止効果が高い
・形状が板状なので、外張り断熱や床断熱ができる
・価格が鉱物繊維系より高いものもある

などといったことが挙げられます。

家を建てるからには、少しでも快適に過ごせるように、もちろん希望する断熱の度合いとコスト面も加味しながらご相談させていただいています。

2019年07月16日

地震に強い構造パート2

以前のブログで「地震に強い構造」の家ということで、「耐震構造」「制震構造」「免震構造」
の特徴をお伝えしました。今回はそのブログをご覧になった多くの方からお問い合わせいただいた、この三種類の構造のメリットとデメリットについて書かせていただきます。
それぞれの工法のメリットとデメリットをまとめて整理してみましょう。

1、耐震構造(工法)のメリットとデメリット
耐震構造(工法)については、日本の建築基準法などの法令にも定められており、最も一般的です。
<耐震工法のメリット>
・「耐震」「制震」「免震」3種の中では最もコストが安い(数十万円)
・現在の建築基準法に則って建てれば、そもそも耐震構造の住宅である。
・激しい地震でも建物を倒壊から守れる
・台風の強風程度ではほとんど揺れを感じない
・地下室などの設置も可能
<耐震工法のデメリット>
・地震の揺れがダイレクトに伝わるため、激しく揺れる
・建物の上部ほど揺れが激しい
・建物内部にある家具などの損傷は避けられず、家具の転倒などによる二次災害リスクがある
・建物は頑丈だが繰り返しの揺れや何度も地震が起きた際に倒壊の可能性も増す
・大きな地震があった後はメンテナンス費用にコストがかかる

現在建てる家は、耐震基準に従っているため、すべての家が耐震住宅です。ただし建築基準法は耐震等級1であるため、もっと地震に強い家を建てたいという場合には、コストがあがりますが、耐震等級2や3にする必要があります。また、耐震住宅は住宅自体は揺れるため、建物内部の損傷に注意しなければならず、家具を固定するなど、家の中の防災について工夫が必要です。

2、免震構造(工法)のメリットとデメリット
現在最も優れた工法と言われている免震構造(工法)です。
<免震工法のメリット>
・地震がきてもほとんど建物が揺れない
・建物内部の損傷まで防ぐことができ、家具の転倒などによる二次災害を防ぐことができる
<免震工法のデメリット>
・地震が起きた場合、免震装置が建物ごと揺れるため隣に空き地が必要である
・耐震、制震工法に比べてコストが高い(数百万円)
・定期的なメンテナンスが必要
・免震装置事建物が揺れるため、多少の揺れは感じる場合がある
・まだ歴史が浅い(技術面や耐用年数について疑問視する声も)
・地震には有効だが、強風や暴風による揺れには効果が少ない
・免震装置を設置する分、一階の床が地面よりも高くなる
・地面の上に免震装置を設置するので地下室は作れない

免震工法は建築時の制約が多いものの、建物内部の損傷が少なく済むため、家財道具を守りたい方に向いていますが、まだ歴史が浅いことが不安点でもあります。

3、制震構造(工法)のメリットとデメリット
制震構造(工法)は、耐震と免震の良いとこ取りです。
<制震工法のメリット>
・建物の倒壊をほとんど防げる
・耐震工法よりも建物内部の損傷を小さくできる
・免震工法よりもコストが安く、工期が短い
・繰り返しの揺れに強い
・地震後のメンテナンスがほとんど不要
<制震工法のデメリット>
・建物自体が地面に接しているため地盤が弱いと使えない
・制震装置の設置の関係上、狭小地には不向き
・耐震住宅よりはコストが高い(数十?百万円程度)
・建物内部のダメージは耐震構造より小さいが免震構造より大きいため家具の固定など必要
・建物内部にいた場合、地震の揺れは直接感じる

このように、制震工法は地震の揺れを抑え建物内部のダメージを防ぎながらも、免震工法よりもお手頃コストであるため、耐震工法と免震工法のちょうど間をとった工法です。
また、地震のたびにメンテナンスや検査をする必要がほとんどなく、簡易なもので済むので、
耐震工法や免震工法よりも手間がかかりません。さらに、免震工法のように基礎部分に大掛かりな工事をせずに済むため、リフォーム工事での地震対策にもオススメです。
ご予算や建てる土地・お家の状況、そしてなによりお客様のご要望を加味しながらしっかりと
地震に備えた家づくりを行ってまいります。

北村建築工業
代表取締役 北村辰也

北村辰也